研究紹介3

先天性カルボニルストレス性統合失調症の治療薬の開発

統合失調症は、生涯罹患率0.85%と頻度が高く、現在治療を受けている患者は日本国内で70万人にのぼるといわれています。しかし残念ながら、原因は未だ不明であり、治療法も対症療法的薬物投与が行われているに過ぎません。

宮田は、糸川らとの共同研究においてグリオキサラーゼを欠損する重篤な統合失調症の患者複数家系を見出しました。グリオキサラーゼは、糖から生成した反応性カルボニル化合物を代謝する酵素であり、欠損患者ではカルボニル化合物とその蛋白修飾物である糖化最終産物(advanced glycation end products: AGEs)が蓄積していました(カルボニルストレス)。その後の解析で、グリオキサラーゼの遺伝子多型を見出し、グリオキサラーゼ活性の低いAlaのホモ接合体にも統合失調症がありました。

ピリドキサミンが生体内のカルボニル化合物やAGEを捕捉し除去することは宮田らによる示されています。カルボニル化合物やAGEsの蓄積は糖尿病性腎症の原因のひとつであることが知られており、米国では1999年から米国ベンチャー企業により前期第相試験が行われ、ピリドキサミンは血漿中のAGEs蓄積を減少させると同時に糖尿病性腎症の進展を抑制することが示されました。ピリドキサミンが糖尿病性腎症患者に蓄積したAGEsを減少させたことは、同様にAGEsが蓄積している先天性高カルボニルストレス性統合失調症患者に対する効果が期待されます。

そこで、ピリドキサミンによるカルボニルストレス性統合失調症の治療コンセプトを提唱し、その臨床開発にも取り組み、現在臨床第II相試験の準備段階にあります。一方、本研究は臨床起源であることから、動物実験での検証は行われていません。そこで治療コンセプトを支持するツールとして、Glo1ノックアウトマウスの作成とその解析方法の確立を行い、それらを用いた基礎研究にも取り組んでいます。

 

1)Miyata T, Ueda Y, Yamada Y, Izuhara Y, Wada T, Jadoul M, Saito A, Kurokawa K, van Ypersele de Strihou C. Accumulation of carbonyls accelerates the formation of pentosidine, an advanced glycation end product: carbonyl stress in uremia. J Am Soc Nephrol. 1998 Dec;9(12):2349-56


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